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ここ数年で中学受験のハードルはかなり上がっています。おそらく小学校受験も我が家が受験した年よりも難しくなっていると思われますが、数年前に受験が終わってしまっている私には今の状況は分かりません。中学受験の難化は、妻が仕事をしている中で実感していることです。
「バリバリ仕事をして、成功した家庭は」
妻の生徒にはお母さんも働いているというご家庭もたくさんあります。ですが、お母さんが企業でバリバリ仕事をしていて、中学受験に成功したご家庭は今までありません。もしかしたらそういう方もいらっしゃるでしょうが、ものすごく少数なはずです。
バリバリ働きながら中学受験の伴走をしようと考えていても、結局は行き詰まって仕事を制限しなければならなくなるのが現実なようです。これまで妻が中学受験を担当した中で成功した働くお母さんは、お医者さんで午前勤務だけだったり、一年くらい休んでも差し支えなかったりという方か、お母さんの代わりにお父さんの仕事に融通が利く方だけです。
何故ならば、中学受験はご家庭の負担が非常に大きいからです。それなら小学校受験も負担が大きいはずだと思われるでしょうが、小学校受験は子どもが夜遅くまで勉強しているなんてことはありません。ペーパーの内容も簡単で、小学校受験の問題が分からない大人はいません。
多くのご家庭が新小4でSPIXなどの集団塾に入会します。入会を検討している当初は通塾回数も少なく、共働きでも伴走できそうな気がします。
妻のところに来る子の多くは塾の宿題だけで手一杯です。
親がしっかりと見てあげないと中途半端にしかできません。当然身につきません。
親がしっかり見ると言っても、問題文は長いですし、丸付け用の解説を読むのも大変です。大量に持ち帰ってくる教材を整理するのが本当に大変だそうです。
どれくらい大変なのか私には想像できませんが、小学校受験のペーパーの整理と準備を毎日難なくこなしていた妻が
「私はあんなのやりたくない」
と言っているのですから、よっぽどなのだと思います。中学受験に取り組んでいらっしゃるお母様は本当にすごいです。
組分けテストやマンスリーで、身についていないことが判明するとお母さんが焦ります。
だから、お父さんにも助けを求めます。効率化を図るために、お父さんとお母さんで科目を分担しようとするご家庭もあるでしょう。お母さんが担当している国語と社会の偏差値は下がらずに、お父さんが担当している算数と理科が下がっているというような場合、夫婦の諍いの原因になります。
自分の点数のせいで両親が言い争いをしていたら、子どもは傷つきます。泣きながら
「私、もっと頑張るから」
と言う子はたくさんいるそうです。
家の中が荒れている間にも、毎週の宿題は溜まります。テストの回数も重なり、解き直しも溜まっていきます。子どもの偏差値は上がりません。
早稲田アカデミーも似たようなものです。予習シリーズで予習しなければならないのは親の方です。
「相応しい語彙や方法」
それに、私が娘の宿題を見ている時に妻からよく指摘されるのですが、その学年の子どもに相応しい語彙や方法で親が勉強を教えるのは無理です。
親からしてみれば知っていて当然だと思える言葉を、子どもが知らないことは多々あります。
そんな時に「年齢に相応しくない言葉を使ってしまった」と反省できる親は少ないはずです。多くの親はその事実に愕然とし「何でそんなことも分からないの!」と怒るでしょう。
塾の先生が共通して言うことは
「頼むから、お父さん、お母さん、余計なことは教えないでください」
です。
親からの
「何でそんなことも分からないの」
という言葉は、子どもの自己肯定感を下げるだけです。
実際妻の生徒には、お父さんやお母さんの教え方は難しすぎて分からないと言う子が何人もいるそうです。因みに、そういう子のお父さん、お母さんはお医者様だったり、高学歴だったりします。
多くのご家庭が5年生の終わりや、6年生になってから個別指導塾の門を叩きます。溜まりに溜まった課題と上がらない偏差値を見続けて、家庭だけの伴走に限界を感じるからでしょう。
しかし、その状況で来る子の多くは、小5以前の知識が不足していることが多いと言います。
塾の課題も一通りこなしていて、毎日たくさん勉強しているのに「偏差値が上がらない」と先生に相談したら、前の学年の知識が不足していると言われた絶望感は想像を絶すると思います。
それだけ学習を定着させることは難しいことなのです。
しかし小学校受験に取り組んだ方は、勉強した内容が定着しないこともすんなり理解できると思います。
小学校受験のペーパーの学習は
「昨日やったでしょ!」
の連続でした。小学生になってもそれは変わらないようです。小学校受験経験者は、子どもが「知らなくて当然」なことも「覚えなくて当然」なこともすんなり受け入れられるような気がします。
幼児が言葉を知らないことは当然のことなので、夫婦の諍いは少なく済むはずです。
何より、幼稚園の子どもが深夜まで勉強する状況はありえないですし、小学校受験のペーパーの内容を親が予習する必要もありません。
小学校受験の家庭学習は、1日最低ペーパーを15枚と言われました。ペーパーを15枚こなすのに必要な時間は30分程です。答え合わせをして解き直しをしても、1時間程度が年長児のペーパーの学習時間です。我が家の場合その他に製作、体操、面接対策と、一日2時間から3時間が家庭学習の時間でした。
幼稚園は早く終わるので、15時頃から始めて、途中夕食やお風呂などの時間を挟んでも、21時過ぎには終わります。
小6の子が塾から帰る時間は早くありません。どうしても寝るのは遅くなります。
時間的な余裕は小学校受験の方がたくさんあります。
小6になると集団、個別、土日の特訓など全部合わせると、塾に週5〜6通うようになります。我が家がジャックに通っていたのは週2でした。通塾は土日だけで収めていたご家庭もあったと思います。
何度考えても、共働きでも伴走できるのは小学校受験の方だという気がしてなりません。
『共働き夫婦の役割分担。庶民が小学校受験を乗りこえる』
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