睡眠時間から見た小学校受験と中学受験

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睡眠時間から見た小学校受験と中学受験

 親にとって子どもの睡眠時間は大きな悩みの1つです。

 特に受験生の場合、勉強する時間の確保と睡眠時間の確保を両立することは困難です。子どもに寝なくても良いと言う親はいません。たくさん寝かせてあげたいと思っているはずです。

 そこで今回は子どもの睡眠時間という観点から、小学校受験と中学受験を比較しました。

「睡眠が学習の質を向上させる」

 誰もが知っていることですが、睡眠の質が向上すると学習や作業の質は向上します。子どもだけではなく大人も同じです。

 妻の話だと、6年生になると授業中に舟を漕ぐ子が増えるそうです。睡眠時間が足りないのです。理由は明白で、塾の宿題が終わらないからです。

 6年生になると、集団塾の授業は週3か4になります、宿題の量も増えます。土曜日と日曜日は特訓と模試です。

 集団塾の平日の授業は21時頃まであるので、帰宅するのは22時近くになります。それから宿題をやって、お風呂に入るとなると寝るのは0時を回ります。

 それでも塾の課題は終わりません。手つかずの問題と親の不安がどんどん積み重なっていきます。

 脳が働き始めるのは起きてから2〜3時間後だと言われているので、入試に合わせて6時には起床する習慣をつけなければなりません。睡眠時間は5時間程度です。成長期の子どもの睡眠時間としては明らかに不足しています。

 受験生にとって、一日の本番は夕方からの塾の時間です。学校ではできるだけ体力を温存して塾に備えようとしても、そもそも睡眠時間が不足しているので夕方には眠くなります。

 だから妻の生徒たちには、学校の時間が邪魔だと言う子がたくさんいます。

 今年受験を控えている妻の生徒が、思い切って22時半に寝ることにしたそうです。

 お母さんはSAPIXと個別指導塾で闘う一人息子のために恋人兼マネージャーさながらに準備をして、22時半に寝られるように待ち構えているようです。

 その甲斐あってか最近彼は授業中の集中力が高まり、テストの点も上がってきました。妻は彼を4年生から担当しているので、最近の勢いの良さに驚いています。

 お母さんは息子さんの睡眠を確保するために、塾の課題の「取り組むべきもの」と「捨てて構わないもの」を選択しています。どれをやってどれを捨てるか、妻とお母さんで話し合って決めています。長く担当して信頼関係ができているからこそできることです。

 信じている先生に「これはやる必要がない」と言ってもらえるから、思い切って「やらない」という決断ができます。

 お母さん一人では「みんな全部やっているに違いない」「全部やらないと成績が上がらない」と不安になるため、子どもの睡眠時間を削ってでも全部やらせようとしてしまいます。

 彼の場合は、妻とお母さんと生徒の三者の信頼関係が成り立っていたため、改善することができました。

 信頼関係が成り立っていないと、生徒は寝てしまったことを先生に隠そうとします。

 ですが先生にはバレてしまいます。すると寝たことをお母さんに言わないようにと懇願するそうです。授業中に寝ていたことがお母さんにバレると叱られるからです。当然寝かせている個別の先生のことも怒ります。

 そういうお母さんには先生も真実を伝えられません。

 1対1の個別指導で寝ているのですから、集団の塾でも寝ているに違いないのです。そして集団の先生は寝ている生徒をいちいち気に留めないと思います。

 頑張って塾代を捻出しているのに受験が終わるまで子どもが塾で寝ていることに気づかないかもしれません。

 睡眠が足りないのですから眠くなるのは仕方ありません。気づかないのは親の想像力の欠如です。睡眠時間を確保することは非常に重要なことです。

 ですが子どもを早く寝かせるのは親にとっては大変なことです。我が家も娘たちを早く寝かせるのに毎晩必死です。

 中学受験生ともなればなおさらです。朝学校に送り出してから家事を終わらせて、塾の教材の整理や丸付けなどをしていると、あっという間に子どもが学校から帰ってきます。

 軽く夕飯を食べさせて、塾に送り出してからも課題の整理の続きをして、早く寝かせるための環境を整えておかなければなりません。

 もしも子どもが0時過ぎまで勉強していたら、親が寝られる時間は当然もっと遅くなります。朝は子どもより早く起きなければなりません。

 朝食の支度をして6時に子どもを起こすためには5時前には起きている必要があります。女性は身支度にも時間が掛かるでしょうから、もっと早いかもしれません。そうなると睡眠時間は3時間程度ですよね。

 両親ともに働いている我が家がそれをしたとしたら、親の身体がもちません。子どもが早く寝てくれることで、親も自分の睡眠時間を確保できます。

 親の睡眠時間が少なければ、それだけ子どもに怒りやすくなります。

 寝る時間も削って頑張っているのに、子どもの成績が上がらないと精神的に疲弊します。さらに勉強時間を増やすことになりかねません。

 睡眠時間はより短くなり、子どもを怒る回数も増えるという悪循環に陥ります。夜遅くまで起きていることにメリットはありません。

 ですが早く寝かせるための環境を整えるのは、やはり共働きでは難しいです。共働きの家庭が集団塾と親の伴走だけで、どのように中学受験を乗り切っているのか私には想像できません。

 小学校受験の当時、我が家は夜遅くまで娘たちに勉強させていました。ですが、せいぜい23時までです。

 幼稚園は9時過ぎから始まるので子どもは8時頃まで寝かせられます。9時間は寝られるのです。親も子どもが寝たらとっとと支度をして寝れば、5〜6時間は寝られます。睡眠時間の確保という意味でも中学受験は厳しいです。

「睡眠不足による弊害」

 睡眠を削ってまで勉強しなければ追いつかなくなっているのは、年々受験のレベルが上がっているからです。

 ただでさえ時間に追われている状況ですから、塾の送り迎えやスケジュールの管理など、親が全てしてしまうのも分かります。子どもは睡眠不足でキャパシティオーバーですから。その結果として、自分のことを何もできない子が出来上がってしまいます。

 更に昨今の中学受験ブームに関連して、中学受験による睡眠不足が原因と考えられる子どもの低身長化が言われています。

 成長期に十分な睡眠を確保できていないため子どもの背が低くなっているそうです。

 我が家も小学校受験直前の何ヶ月かは、娘たちの寝る時間が23時頃になってしまっていました。

 双子で元々小さく生まれたため、幼稚園の頃までは二人とも背が低い方でした。ですが小学校に入ってから二人ともぐんぐん背が伸びました。次女はクラスで一番背が高いそうです。小学校に入ってからぐんぐん背が伸びたのは睡眠をしっかりと取っているからだと思います。

 妻は若い頃に睡眠が上手く取れずに悩んでいたため、娘たちの睡眠時間を確保することを非常に重視しています。小学校に入ってからは、毎日8時間寝られるようにしています。

 朝は6時半には家を出るため6時前に起きます。そのため21時半には寝かせるようにしています。夜の時間帯は妻は仕事なので、娘を早く寝かせるのは私の責務です。

 私は平均すると19時頃に帰宅します。娘たちは17時半頃に帰宅して、私が帰るまでに宿題を終わらせています。

 夕飯の支度をして食べさせて、宿題の確認と連絡帳への記入をして、お風呂に入らせて髪を乾かして、歯を磨いて、ベッドに寝かせて本を読むまで実質2時間程度しかないので戦場です。

 実際にはなかなか21時半には寝られません。それでも22時までに寝れば8時間睡眠を確保できます。

 それまでに寝てくれれば妻も帰宅後自分の時間を過ごせます。私も22時からプールに行って30分程度泳げます。中学受験を控えていたらできなくなってしまいます。

 私も妻も夜は運動してリフレッシュして、しっかり寝ているので精神も身体も健康です。娘たちもしっかり寝ているので、体調不良を起こすことはほとんどありません。小学校受験で終わりにできたおかげで、家族全員健康的に過ごせています。

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