お母さんはすごい。受験に必要なもの。

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お母さんはすごい

 小学校受験も中学校受験も「親の受験」や「親子の受験」と言われて親が関わる度合いが高い受験です。

 どちらにしろメインに関わるのは一般的にはお母さんです。勿論お母さんよりお父さんのほうが熱心なご家庭もあるでしょうが、一般論で言うと熱心なのはお母さんというご家庭の方が多いでしょう。

ジャックでも

 ジャックでも「お父様を多く関わらせるように」と言われていて、土曜日のクラスなどはお父さんも多く参観していましたが、それでもお教室は基本的には女の園でした。

 毎週1回お教室に来るお父さんは「熱心で良いお父様」と言われますが、お母さんが仕事を調整して週に2回お教室に子どもを連れて行っても「熱心で良いお母様」とは言われません。お母さんが子どもを連れているのは当然だと思われているからでしょう。

 僕も娘がもっと幼い頃に二人を連れて歩いていると

「子育てに積極的で良いお父様だこと」

などとご年配の方から声を掛けていただきましたが、子どもを連れているお母さんに同じように声を掛ける人はあまりいないのではないでしょうか。

「パパ塾」というのはよく聞きますが

 「パパ塾」というのはよく聞きますが「ママ塾」とはあまり聞かない気がします。これもお母さんが子どもの勉強を見るのは当然だからということなのかもしれません。

 ですが僕はどうもそれだけではないと思っています。それは男性の方が自己顕示欲や支配欲求が強いからなのではないでしょうか。「パパ塾」は「他ならぬ自分が誰にも頼らずに子どもを合格させた」という自己顕示欲の現れだと思います。

 男は気をつけないと自身を大きく見せようとして、上から目線になりがちです。武勇伝を語るのは一般的に男です。女性の武勇伝というものはあまり聞いたことがありません。

 僕もブログの文章を書く際、気を抜くとつい偉そうになってしまいます。だから必ず投稿する前に妻に読んでもらっています。

 武勇伝は面白くありません。近年若者が上司と呑みに行きたがらない理由も分かります。人は失敗談や悩みを人に共感して欲しいから誰かと話したいのです。

 自分のネガティブな話にマウントされて上から目線で物を言われたら、たまったものではありません。

妻のことを見ていると

 妻の事を見ていると、女性は見えない所で男よりも色んなことに気を遣って生活していることが分かります。

 替えのストッキングを持ち歩いたり、夏には着替えも持ったり。それに加えて子育て中は子どもの物も持たなければならないので大荷物です。

 お教室に行くには勉強の道具と、体操用の服、親子分の上履きを持ち、暑ければ着替えも用意して、保冷剤を持って、日傘を持って…etc。取り敢えず財布とスマホを持てば出かけられる男とは大違いです。

 ストッキングは履いてみないと破けているか分からないので、二足も三足も持たなければならないし、真夏のストッキングは最悪だとよく妻は言います。

 お教室ルックは紺のワンピースにストッキングにヒールの靴です。年長になると夏期講習やらで夏休みはほとんど毎日お教室です。子どもの手を引いて、大荷物を持って、イライラしながらニコニコとお教室に行くのですからめちゃくちゃだと思います。その内の1週間は生理中ですよね……。更に荷物は増えるし、体調は良くないし。

 男にはこの毎月かならず来る、不可抗力で理不尽な体調不良がありません。男の体調不良は基本的に自分のせいです。

共働きなら

 共働きなら職場に穴を空けたくないのは男も女も同じなのに、お父さんがお教室に行くと

「お忙しい中で素晴らしい」

と褒められ、お母さんは当たり前だと思われるのはいかがなものでしょうか。同じ場所に行くにしても男よりも女性の方が所要時間を長く見積もっているはずです。

 妻は自分が普段行動するエリアのどこのトイレが綺麗で使いやすいか大体把握しています。どこのトイレでも気兼ねなく使える男とは違います。

 お教室に着く前に〇〇でトイレに寄って、汗を拭いて、化粧を直して、ストッキングをチェックして…etc。という時間が含まれるため、僕1人で行く時は1時間前に家を出れば良くても妻と一緒の時は1時間半前に出ます。

山岸顕司先生の

 山岸顕司先生の著書「慶応幼稚舎・早実初等部・筑波小学校に合格する子育て」の中に、小学校受験における父親の役割は我慢をして奥さんを支えることと書かれていますよね。

 小学校受験や中学校受験をされるご家庭のお父様は皆さん立派な方でしょう。そんな立派な方でも我慢して支えることが役割だと言われるのですから、僕のような男は、もう全面的に妻の言うことを聞いて動かなければ駄目なわけです。

「志望校のことで俺に従わないなんて即離婚案件だ」

と書いてる方がいらっしゃいました。

 おおたとしまささんの「勇者たちの中学受験」の書評を書いたブログです。お父さんが行かせたかったサレジオに合格したのに、それより志望順位の低い中央大学附属横浜に進学させたお母さんを批判した文章でした。

 あの話はお父さんが中心で熱心に頑張っていた話なので、お父さんからしてみれば寝耳に水かもしれません。

 ですがアユタ本人のことを思ったらきっと楽しく過ごせるに違いありません

 サレジオに進学するとまた受験をしなければならないし、中央大学以上の大学に合格できる保証はありません。

 僕的には女の子もいて大学にエスカレーターで進学できる中大附属のほうが良いと思うし、お母さんの気持ちはよく分かります。

 そのブログを書いていらっしゃるお父様はご自身のご子息が中学受験に成功して立派な進学校に通ってらっしゃるようです。奥さんに対しても立場が上になれるような、さぞかし立派なお父様なのでしょう。

 僕は違うので「離婚案件」なんて言えません。むしろ、我が家は僕が受験料をケチったため埼玉校を受験せず、結果的に合格したのは1校だけでした。全滅していたら僕のほうが「離婚案件」と言われるところでした。

そもそも子育ても受験も

 そもそも子育ても受験も夫婦の共同プロジェクトです。巷でよく聞く

「お父さんが子育てを手伝っている」

という言い方は甚だ疑問です。

「お母さんが子育てを手伝っている」

とは絶対に言いません。

 もしお父さんが子育てを手伝っているだけなら、志望校の決定にも習い事や塾にもお父さんは口を出す権利なんてありません。だって手伝っているだけなのですから。

「子育ては任せているのだから、絶対に〇〇に子どもを合格させるように」

と言えるのは、奥さん用にベンツを買ってあげて、テニスでもエステでも好きなように行かせて、エルメスでもシャネルでも何でも買ってあげて、奥さんの言うとおりにお教室の費用も全部出せるお父さんだけだと思います。妻の生徒のお父様にはそういう方が多いですけどね。

 普段の子育ては手伝うという立場で、経済面では奥さんに我慢をさせておいて、受験校の決定権だけは握ろうなんて虫が良すぎます。

  

 「2月の勝者」で、受験に必要なのは母親の狂気と父親の経済力と言われています。確かにそれも必要でしょうが、結局のところ「母の愛と夫の愛」の方が大事なのだと思います。

 受験は子どものためだというのは綺麗事です。我が家も僕と妻がそれぞれの欲求を満たすために小学校受験を利用しました。自分のためでなければ乗り越えられませんでした。

「自分の〇〇を叶えたい」

という思いがあるから乗り越えられました。叶えたい思いは狂気です。だから母親だけでなく父親にも狂気は必要です。

 ですが、両親ともに欲求を叶えるための狂気しかなかったら家庭は崩壊します。小学校受験も中学校受験も親の受験で頑張るのは親ですが、実際に勉強をして試験に臨むのは子どもです。狂気だけでは子どもが壊れてしまいます。

 他人から見たら気狂いにしか見えないような状況で受験に臨んでも、家の中は平和に保たなければならないのが難しいところなのでしょう。

そこで子どもに対する

 そこで子どもに対する母親の愛と、奥さんに対する夫の愛が必要なのだと思います。

 先程書いたような圧倒的な経済力でお母さんの要求に全て応えられるようなお父様は良いでしょうが、僕には当然無理なので経済力の足りない部分を妻の言うことを聞くことで補うのです。

 僕は妻に服一つ満足に買ってあげられないのだから、その分身体を使うしかありません。

 我が家も共働きで家事育児を夫婦で分担していますが、割合で言えば妻が担っている物の方が多いです

 同じ事柄をこなすためにための労力も時間も女性の方が多く必要です。見た目に気を遣うのも男の比ではありません。受験生のお母さんは誰も、その中で時間を遣り繰りして受験に臨んでいます。

 子どもが寝た後でお風呂に入っても、その後にしなければならないことは女性の方がはるかに多いです。髪を乾かすにも男の倍以上時間がかかるし、スキンケアクリームを塗るのにどれだけ時間が掛かるか。

 ジャックで観たお母様方も、娘の学校のお母様方も美しい方ばかりでしたが、自分の奥さんが美を保つためにどれだけ努力をしているかを知るべきです

 時々お教室に子どもを連れて行った程度で褒められて、自分は良い父親だと言うのは思い上がりです。自分が大変だと思うなら、お母さんはその倍大変です。

受験で一番頑張っているのは

 結局受験で一番頑張っているのはお母さんです。そして一番頑張っているのに評価されないのもお母さんです。

 色んなものを我慢して受験に取り組んでいても思うようにならない苛立ちを隠して、子どもの前では穏やかにしていなければいけないのです。そのストレスは相当なもののはずです。 

 子どもを支えるのは夫婦ですることですが、お母さんを支えられるのはお父さんだけです。夫としての愛情が不可欠です。

 だから顕司先生は我慢して奥さんを支えるのが父親の役目だと言っているのだと思います。

共働き夫婦の役割分担。庶民が小学校受験を乗りこえる

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