ジャックの3年間をふりかえる。3年間の月謝や失敗談

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似顔絵 女性

 我が家は本当に庶民です。本来娘を私立に通わせる身分ではありません。最後まで挫折せずに受験を乗り越えられたのは、新年少のスタートからジャックに通い始めたからでしょう。

「ジャックのスタート」

 新年少のスタートからジャックに通い始めた時のクラスメイトは、我が家を含めて2組で次の週から4組になりました。夏前後からどんどん増えはじめて、増えたり減ったりしながら最終的に15組くらいになったかな。

「年少の月謝」

 最初のひと月はけちって体操を取っていませんでした。「年少勉強」の月謝は20,000円です。当時は高いと思いましたが、払えない金額ではありません。つい先日まで通っていた四谷大塚も1・2年生の間は月13,000円です。塾は最初はお安いので始められてしまうのですよね。翌月から増えた体操が15,000円。二人分で月々70,000円が年少の頃のジャックの費用でした。

「年少体操」

 12月から受講した体操には、体操にだけ参加している超優秀な男の子がいて、その男の子に追いつけるように家で練習して次の授業に臨みました。彼のレベルに合わせて授業が行われていたのでしょう。我が家の双子はもちろん、他の2人の子たちも全くついていけてませんでした。だからこそ僕と妻の心に火が点いて小学校受験にのめり込んだのです。ところがその男の子は4月になったらいなくなってしまいました。多分都心の校舎に移動したんだと思います。年長の時に体操新聞で名前を見たので、どこかの教室にはいたようです。

 年少の頃は希望に満ち溢れています。花の名前になんか興味のない妻が、季節の花探しをしたり、夫婦でモンテッソーリ教育の勉強をしたり、モチベーションはどんどん上がりました。自分たちは一番早く準備を始めた意識の高い夫婦で、娘たちは天才だと思えた時期でした。後から入ってくる子たちや体験にだけ来て入会しなかった子たちを見ては優越感に浸っていました。ジャックの年少体操は、3歳4歳の子どもにとって相当難易度か高い要求をされています。だから入ったばかりの子や体験に来た子は立ちんぼになったり、泣いてしまったり、親のところに駆け戻ってしまったりする子が多いです。親も慣れていないとその状況はかなり恥ずかしいです。自信満々な顔で体験に来たのに、泣きわめく子どもを怒った親が引きずって帰っていく光景はよくあることでした。

 体操は同じ先生に3年間教わりました。我が家の心の支えで、最後までジャックに通いきれたのは先生のおかげです。この場をお借りしてお礼申し上げます。先生のおかげで娘たちは体操が得意で、下の娘は年長時の模試では最高で女子の2位でしたし、体操新聞には必ず名前が載りました。

 年少の頃は本気で早稲田を受験しようと考えていました。とんだ勘違いです。

「年少勉強」

親子

 年少の時期の勉強はペーパーではなくほとんど事物教育でした。3歳の子どもにとって「たくさんのりんごの中から3つ取る」ということが難しいのだと知り、事物教育の大切さを実感しました。  

 体操にしても事物教育にしても、親の価値観を変えてくれることが多く、また内容も易しいので、家庭学習を楽しく取り組める時期でもあります。名前を言う練習や線に並んで大きな声でお返事をする練習、季節の花を探したり、図鑑で生き物を調べたりと、その時期に家庭で行いたい育児そのものです。モンテッソーリ教育の第一期にも当たるので、怒らない育児を実践し、自分たちが意識の高い教育をしていると思えました。

 就園前で小学校受験をお考えのご家庭は、迷いなく新年少からスタートすることをお勧めします。入る時期が遅くなるほど精神的なショックが大きいです。今は僕たちの頃よりも、早く始めるご家庭が多いでのではないかと思います。

 最初からいれば良い気分で通えます。その空間に居場所を作ることはとても重要です。我が家はまわりのご家庭と比べると経済的に劣っていることは分かっていましたから、最古参として良い気分でいることはモチベーション維持に必要でした。

「年少の反省点」

 この時期にブロックやパズルなどの図形分野の遊びをたくさんさせておけば良かったと反省しています。僕も妻もその分野への関心が薄く、好きな言葉の分野の勉強に重きを置いていたため、娘たちは最後まで図形が苦手でした。やらなければいけないことは分かっていたので、積み木を買ったりパズルを作ったりしましたが、親が楽しく遊べないと子どもも楽しく遊べません。我慢してでもパズルで遊ぶ時間を増やしていれば、年長になって苦労しなかったでしょう。年長のペーパーの勉強は数と図形の問題ばっかりでした。

「年中の月謝」

 年中では勉強が30,000円体操が20,000円になり、二人合わせると月額100,000円になりました。

「年中勉強」

 それまでの事物教育からペーパー重視の授業に変わりました。ペーパーの宿題の他にも、毎週絵の宿題が出たり折り紙の宿題が出たりと、親の負担がいきなり増えました。

 恐らく新年中からの入会者は一番多いです。中には優秀な子も入ってきます。我が家は一番早くからいて子どもは優秀だと思い込んでいたので、正直言って面白くありませんでした。やることが急に増えて家庭学習が追いつかなくなりました。毎週の授業にバタバタで通うことは良くない、ペーパーや折り紙や絵は家庭でゆっくりと取り組んだほうが良いと言い訳をしてペーパーの授業を辞めることにしたのです。正直月100,000円の負担は大きかったので、勉強の分の費用が浮くことの安堵感もありました。

 その判断が結局最後まで尾を引き、年長でつらい思いをすることになったのです。

 レギュラ−の勉強を取っていない代わりに、季節講習で色んな校舎のペーパーの授業を受けに行きました。

「勘違いしてしまうこと」

 振り返ると、年中勉強を辞めたことは間違いなく大失敗なのですが、辞めずに続けていたら勘違いしたまま受験して全滅してたかもしれません。辞めたことでいくつかの教室に行って、優秀な子たちがたくさんいることを知ることができたのです……。

 一番怖いのは井の中の蛙になってしまうことです。そのクラスの中だけで優秀だのそうじゃないのと比較して、その中で上位にいると思い込めれば、何故か安心してしまいます。狭い世界の比較でしかないのにです。実際は他の曜日、他の校舎、他の塾と沢山の人が受験するのに。現にジャックの中でも年中から校舎を掛け持ちしている家庭もあれば、塾を掛け持ちしている家庭もあるのです。

 勘違いせずに済んだことは我が家にとって良かったことです。

一番星

「年長になって」

 年長になって僕たちは学校別の授業を取るために都心の教室に通いました。体操もホームの教室ではなく学校別の授業に合わせて同じ先生の授業を都心の校舎で取り、元々通っていたところでは「聞き取り話し方」だけ受講しました。

「年長の月謝」

 以前の記事でも書きましたが、年長の時は学校別40,000円、年長体操30,000円、聞き取り話し方30,000円の計100,000円でした。二人で月額200,000円です。普通のご家庭の半分以下です。何故なら僕たちは基本の総合勉強は取っていませんでした。70,000円もして予算オーバーだったからです。絵画や集団行動観察なども取っていませんでした。だいたいのご家庭が年長になると1人200,000円くらいは掛かっていると思われます。

 一人100,000円というのは僕たちの出せる限界でしたが、それくらいは出せないと小学校の学費を払えないと思い頑張りました。

「年長の授業」

 聞き取り話し方は非常に楽しい授業で、毎週楽しく通いました。前に出て歌ったり昔話を暗唱したりとまさに僕の得意分野。体操も同じ先生で慣れているので、違う校舎でも娘たちは楽しく通っていました。毎週電車に乗って遠い校舎に通うことは遠征で慣れていたので苦になりませんでしたし、小学校に入ってからの通学の練習にもなりました。

 保護者会や保護者向けのセミナーを受けてモチベーションもかなり上がっていました。

 学校別は新年長のスタートから2ヶ月遅れで始まりました。1月から張り切って臨んだ学校別で、年中勉強を辞めたことのつけが一気に押し寄せてきました。

「学校別クラスで」

 我が家はペーパー難関校と言われる女子校を第一志望にしていました。ペーパーの勉強は総合勉強を取らなくても学校別で賄えると考えていました。学校別クラスには絵と集団行動観察のカリキュラムも含まれていますので、お得だと思っていました。

 学校別クラスのお嬢様たちは、みんなハイレベルなペーパーの授業を積んで来た子たちです。実際ハイレベルペーパーという授業もあります。娘たちはやはりペーパーが追いついていません。

 学校別では主に数や図形の分野が良くできる子が褒められました。花丸をもらうと授業中に名前を呼ばれるのですが、得意なお話の記憶が花丸でも名前を呼ばれることはほとんどありませんでした。我が家の娘は図形が苦手なので当然呼ばれませんでしたが、自分たちも花丸をもらうんだと必死に頑張っていました。

 家庭学習は親も苦手な図形と数の勉強に明け暮れて、絵などに割く時間はあまり取れなくなり、もともと絵が好きだった娘たちは絵が苦手だと思うようになってしまいました。そのため9月に受けた模試ではまさかの絵が0点でした。そこから2か月間必死に絵の特訓をしました。

 この時の絵の特訓については別記事に書いているので是非読んでみて下さい

 ペーパーも追いつきませんでしたが、授業中の姿勢なども娘たちはよくありませんでした。それも年中の間にペーパーの授業を取っていなかったことのしわ寄せです。毎週授業を受けることで座り続ける体力が養われていくものですが、年中の一年間ぽっかり空いてしまったことで、椅子に座る姿勢も解答用紙の受け取り方も他の子たちに比べるとかなり見劣りしていました。

お先にどうぞ

 女子校を志望しているのにお行儀が見劣りするのは致命的です。僕たちも小学校受験のためにお行儀や上品な言葉遣いを教え、自分たちも気をつけていたつもりでしたが、僕も妻もそもそも育ちが良くありません。所詮付け焼き刃でした。完全に年中勉強を甘く見ていた僕たちの失敗です。

 双子の合格は毎年1組です。僕も妻も学校別クラスのスタートから絶望感でいっぱいになりました。

「それでも小学校受験」

 志望校を変えようかと考え実際に他の学校別に空きがないか、いくつかの教室に問い合わせもしました。

 すると必ず

「総合勉強はどの教室で誰先生の授業を取っていますか?」

と質問され、総合勉強を受講していないと答えると

「それは困りましたね」

と言われました。

 ジャックを辞め、受験を止めてピグマに入会しようかとも考えましたが、結局学校別も変えずに小学校受験をやりきろうと決めました。

 年中の頃までは我が家は市部のボロアパートに暮らしていました。第一志望の学校は通学時間60分以内と制限されていました。なんとか願書に通学時間60分と書くために、そして変な印象を持たれないようにと、新年長に上がったタイミングで区内の戸建てに引っ越しました。いかにもアパートであると分かる住所では駄目だと思ったのです。当然港区や世田谷区には住めませんが、僕も妻もそれだけ小学校受験に掛けていたので簡単には辞められませんでした。

 娘たちはペーパーを頑張ってくれて、最終的には花丸を取って名前を呼ばれることもありました。はじめて名前を呼ばれた時は僕が嬉しくて帰り道で泣いてしまいました。

 結局ペーパーのレベルもお行儀も追いつかなかったため、第一志望の学校にはご縁が頂けませんでしたが、第2志望の学校にご縁を頂き飛び上がって喜びました。

 ジャックに通っていたから頂けたご縁だと思っています。

「双子だから頑張れた」

 娘たちが受験を乗り越えてくれたのは双子だったからだと思います。吐くまでペーパーをやらせてしまったこともあります。幼稚園児だからこそ親の気持ちを読み取ります。自分のできも分かります。期待に応えようという気負いもあります。我々は遅れを取り返そうと必死でした。一人の子だったらつぶしてしまっていたかもしれません。

 双子だったから僕たちが怒っても、二人で遊んでいるうちに忘れてしまいます。お互いに競い合って頑張ります。双子だから先生にもすぐに覚えてもらえます。季節講習でしか行かない校舎でも、娘たちはいつも先生に覚えてもらっていました。その他にも小学校受験を通して、双子で良かったと思うことはたくさんあります。そのことは長くなってしまうので、また次の機会に書こうと思います。

 双子で生まれてきてくれたことに感謝しています。

双子

「余談」

 引っ越した先は区内といっても僕たちが家賃を払える物件です。ものすごく交通の便が悪く、最寄り駅までは大人の足で徒歩25分、バス停までも15分掛かります。通学時間を60分以内に収めるのは実際は不可能です。僕と妻は本気で悩んでいました。まさか願書に嘘は書けません。受験できないかもしれないと不安になり、学校別の先生に相談しました。

 すると先生は

「それなら、ご自宅から最寄り駅までを徒歩2分にしましょう。誰も調べないので大丈夫です」

とおっしゃいました……。これもジャックに通っていたからこそ解決したことです。

 ここまで振り返ってみると、改めてジャックはすごいですね。我が家みたいな庶民にも夢を見させてくれます。信じてしがみついていたから結果も授けてくれました。

 今回はこの辺で。次回は小学校に通いはじめて感じたGPSのありがたさについて書くつもりです。読んでくださってありがとうございました。

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『子どもの教育と、コスパ論の親和性について』