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我が家の双子は年長の夏頃、絵の課題が大の苦手でした。お教室で出される絵の課題を前に、毎回フリーズしている娘たち……。先生方も困ってしまっている様子……。
なんと、夏の終わりに受けた模擬試験では、絵が0点!
これはひじょうにまずいぞ……。ということで、3ヶ月間絵の特訓をしました。
家庭学習で、どんな風に絵を練習したかをまとめました。参考になれば幸いです。
それでは、よろしくお願いいたします。
製作の意味
製作は数をこなせばこなすほど力がつきます。
また、
1、子どもも楽しく取り組める。
2、製作はほとんどの学校で出題される。
3、親があまり怒らなくてすむ。
4、諦めずに最後まで取り組む力をつけることができる。
5、完成したら達成感が得られ、成功体験の積み重ねが自信につながる。
などの点から、積極的に取り入れたほうが良く、特に「3」の効果は意外に重要です。ペーパーの学習で、親が子どもを怒らずに取り組むことは非常に難しいですからね。我が家でも、製作の時間は良い息抜きになりました。
製作の課題は、手作り教材で用意することができ、工夫次第でたくさん作れます。貧乏お父さんの味方です。
年長になると、お教室の課題でも、
a、絵を描く。
b、綺麗に色を塗る。
c、端と端を綺麗に合わせて折る。
d、のり付けをする。
といった、複合的なスキルが求められる課題が多くなってくると思います。特に女子校の場合、bとcに関しては重要視されます。名門女子校系の「塗り絵」は有名ですよね。
確かに、折り紙をずれないようにぴったり折ることや、線をはみ出さずに綺麗に塗るということは、単純に人間性の問題です。「物を丁寧に扱えるかどうか」を測ることができます。要するに、物を丁寧に扱うことや、根気強く取り組む心を育む子育てができているかどうかが見られるのでしょう。近年は受験生のレベルが上がっているため、「丁寧に、かつ速く」仕上げなければいけないので大変です。我が家の娘たちは、折り紙の端と端を綺麗に合わせて折ることが難しい様子でしたが、妻が一緒にたくさん折り紙の練習をしてくれていたので、上手じゃなくても折り紙を折るのが好きでした。
また、子どもが製作にどのように取り組んでいるかを見れば、普段家庭でどのように学習に取り組んでいるかが見て取れるそうです。試験官の先生方も、ペーパーに関しては厳しくしてしまうことは分かっているそうで、試験中に製作を楽しくのびのびと取り組んでいれば、家庭学習も親子で楽しく取り組んでいることが想像できるようです。
小学校受験では、ほとんどの学校で、絵か工作のどちらかが出題されます。
当時の娘たちの様子から推察すると、工作に関しては説明をしっかり聴く力があれば、問題なく取り組めるのではないかと思っています。基本的にはその場で作り方を説明してもらえますから。
娘たちがつまずいていたのは絵でした。描きたい気持ちはあるのに「どうやって描けばよいか分からない」と、画用紙を前にしてフリーズしていました。
「絵を得意にするには」
「とにかく自信をつけること」
どの科目にも共通して言えることですが、とりわけ製作に関しては「自信をつける」ことが重要です。我が家では年少、年中とジャックで絵画の授業を受けていませんでした。そのため娘たちは、新年長になり学校別の授業が始まってから、周りのお子さんたちの上手な絵と自分たちの絵を見比べてしまい、製作に対して苦手意識を持ってしまったようです。模試でも、ペーパー、体操、面接は得点できても、絵が0点……。
成績表を渡されて「0点」という文字を見た時は、さすがに焦りました……。製作の怖いところは、課題を前にしてフリーズしてしまい、終了時間まで何も手を付けずに終わってしまう恐れがある点です。そこで、夏休みに入ってからは絵に力を入れて取り組みました。
「絵が苦手な子の克服法」
自信が消失している所に「〇〇を自由に描いてみよう」という課題を与えても、子どもは「どう描いてよいか」が分かりません。「子どもらしい自由な発想で絵を描く」などということは綺麗事です。家の中だけで、楽しくお絵描きをしているような状況なら、それでも良いと思います。親が褒めてあげれば、子どもは得意になってどんどん描くでしょう。でも、お受験のための準備となるとそうはいきません。子どもには子どもの世界があって、プライドがあります。お教室にいる、周りの絵が上手なお友達と比べて、自分が上手にできないと感じていることはやりたくないのです。
難しくなり始める年頃です(笑)今まで好きだった絵を描くことが、半年足らずですっかり苦手になってしまいました……。
市販の絵の練習帳のような物も取り入れてみましたが、なぞって描くような物は、見本がないと描けなくなってしまい、やはり自信の獲得には繋がりませんでした。
「なぞるのは得意なのになあ」
と言い出す始末です。そこで思いついたのが、「続きを描く」という練習です。
最初は簡単な物が良いので、クマさんの顔を正面から見たイラストを描きました。
それを半分に折ってからコピーします。すると半分のクマの顔のイラストができます。
その続きを描くのです。
「なぞる」という行為には「考える」という行為がありません。謂わば受け身です。考えて描くことをしないので、子どもの脳に何も蓄積されません。「続きを描く」という行為には「続きを想像する」という頭を使う行為が含まれているため、子どもの記憶に「クマの顔」が蓄積されるのです。右半分を描いたら次は左半分を描きます。上半分と下半分はレベルが高いです。何故なら「見本と同じように描く」ことが出来ないからです。上半分を線対称で描くと、目が4つもあるお化けになってしまいます。
右半分と左半分を何度かクリアしてからタイミングを見て、上半分に挑戦します。難しいようでしたら、また左右の半分に戻れば良いです。
この時期の子どもは敏感期といって、同じ課題を繰り返し行うことは苦になりません。上下の半分もできるようになったら、クマさんの顔を丸々描かせてみます。すると、クマの顔を上手に描けるようになります。クマができたらウサギ、ライオン、キツネ、ゾウとレパートリーを増やしていきました。
線対称にしやすい、シンプルなイラストを描くように心がけました。
次々に描けるようになった成功体験の積み重ねが、自信の獲得へつながったようです。
「次のステップへ」
この、「続きを描く」という練習の良いところは、一度おおもとのイラストを描いておけば、コピーして何度も使えるところです。
顔が描けるようになったら、次のステップです。「顔の無い、身体だけの動物のイラストに、その動物が何かを想像して顔を描く」という課題です。それぞれの動物の身体の特徴は、年長さんにもなれば、みんなだいたい知っています。例えば、ゾウは足が太くて尻尾が小さいとか、馬やきつねの尻尾は同じようにふさふさしてるけど、足が長いほうが馬だとか、うさぎの尻尾はお団子で、豚の尻尾はクルンとなっているというようなことです。だから、身体の特徴を見て顔を描くことは、簡単にクリアできます。ここまでの段階で、子どもは「動物の絵が得意」だと自信を持っています。そこで、最後に顔のイラストに身体を描く課題に挑戦です。でも、既に「動物の絵」に自信を持っていますので、身体も何度か挑戦するうちに描けるようになりました。
「人間が描ければ怖いものなし」
動物が描けるようになったら次は人間です。課題では人間の「動き」を描くことを要求されることが多いのですが、これもやはりいきなりは無理です。顔から練習し、次に立っているところ、最後に動きがある絵に挑戦しました。顔は動物と同じ工程で練習できます。基本は女の子なら女の子、男の子なら男の子が描ければ良いと思います。
表情は「笑顔」と「泣き顔」の2パターン練習しました。
これはなぜかと言うと、過去問や、お教室で出された課題をみると、「困っているお友達を助ける様子」の絵を描くことが多いように思ったからです。例えば「泣いている女の子を助けます。何をして助けますか?絵を描きましょう」などです。「怪我をしている友達と何をして遊びますか?絵で描きましょう」という問題も見たことがあります。なので、困っているお友達の絵と、笑っている自分の絵を描けたほうが良いと思い練習しました。
あと、お父さんお母さんの絵も描けたほうが良いですが、これは基本の子どもの絵が描ければ、特徴をつけることでクリアできました。女の子は三編み、お母さんはロングヘア、お父さんはメガネという具合です。お父さんお母さんは笑顔だけで大丈夫だと思います。怒っているお母さんの顔を描く機会はあまりないでしょうね。
大人の顔は、まん丸ではなく少し細長くすると大人に見えます。
「人間の動き」
「走る」「歩く」「渡す」「バンザイ」などが描けるようになれば絵の幅が広がります。「渡す」はプレゼントの絵を描くのに便利です。それと意外に描く機会が多かったのが「正座」の絵です。お手伝いの絵などは鉄板です。
このような練習を、
「絵に失敗はない!」
を合言葉に毎日頑張りました。
「毎日1課題」
毎日練習したことで、我が家の双子も11月には「絵が得意」だと思うようになっていました。子どもは思い込みの力が強いので助かります。秋以降、お教室の授業もペーパーの追い込みが中心になり、製作に時間を割かなくなっていた事も幸いしました。お友達の絵を見る機会が減っていたので、自分の絵と人の絵を見比べる事が少なくなっていたからです。
年中の時から、このような絵の練習をしておけば良かったと後悔していますが、なんとか間に合って良かったと思っています。特に下の子は、今では絵が大好きで、将来は絵の仕事をしたいと言っている程です。
「子どもと絵に取り組む心構え」
「描いたことがないものは描けない」
当然ですが、子どもは描いたことのないものは描けません。ジャックの新年長診断テストに、「犬を散歩している絵を描く」という課題が出ました。我が家の双子は犬も人も散歩も上手に描けなかったので、ほぼ白紙で提出しました。振り返れば、その段階で対策を講じるべきだったのです。しかし、当時はまだ年中の6月です。「そのうち描けるようになるだろう」くらいに甘く考えていました。初めての模擬試験で緊張してたのだろうと思ってました。
「犬の散歩」の描き方は分らなくても、人と犬の描き方が分かれば、「散歩」の描き方を考えられる可能性はあります。ありとあらゆる「状況」の描き方を、全て練習することは不可能です。必要なのは何と何を描けばその状況を描けるかを考えて、その要素を描けることです。実際の試験でも、例えば先程の「犬の散歩」場合、「犬」と「人」が描けていれば正解でした。
年々試験内容は難しくなっているので、絵の課題も我が家の頃より難しくなっているのでしょうね……。
「考えること」
僕が「続きを描く」練習を思いついた理由は、ペーパーで「線対称」を何度も練習していたからです。「線対称」になるように点図形を書くという問題は、女子校では頻出で、たくさん練習しました。
だから娘たちも、半分を想像して描くという課題に、違和感なく取り組めたのだと思います。
また、モンテッソーリ教育的に見ると、技術として定着させるためには、考えて実践することが必要だからです。モンテッソーリ教育の「お仕事」でも、先生が途中までやって見せて、続きを自分で考えるという教え方をよくするようです。考えるというプロセスを挟むことで、その作業が脳に記憶として蓄積され、また「自分の力でできた」という自己肯定感の醸成にも繋がります。
「怒らないこと」
絵を得意にするためには、とにかく怒らないことです。怒られて身につくことなど、幼児に関しては何もありません。「怒られたこと」は嫌な記憶でしかなく、脳は嫌な記憶は積極的に忘れようとします。とにかく絵に関しては褒めて自信をつけさせるように努めました。
「双子のメリット」
家庭学習で絵に取り組む上での双子のメリットは、「相手の絵を気にしない練習ができる」という点です。子どもは特に自信のないものは不安です。不安だから人のを見たくなります。人のと見比べると、自分の方が劣っているように感じます。これは不思議なもので、誰かと見比べて「自分の方が優れている」と自信に繋げていくということは、子どもの場合ほとんどありません。自信のある子は、そもそも人のを見ません。双子であることで、日頃から相手のものを見るだの見ないだのとやりあっているので、「相手の絵を途中で見ない」ということを練習することができました。
また、出来た作品を発表して、お互いに褒め合うという練習もできました。「集団行動観察」では、お友達の良いところを話すという課題もよく出題され、お教室でも練習しました。相手のことを尊敬できる子は学校も欲しいと思いますよね。我が家は双子なので、普段からそのような練習をすることができました。
「まとめ」
絵は段階的に練習すれば、確実に上手になります。
ですが、我が家のような庶民の家庭は、絵画の授業まで予算が回らないというつらい事情があります……。
できるだけ家庭学習で頑張りたいところなので、段階的に練習を積み上げなければなりません。絵や製作は、親が怒らずに楽しく取り組めます。また、子どもの成果に対して褒めやすいですよね。動物の顔の半分を描く練習などは、年中で充分取り組めますし、年長のペーパーで苦労する「線対称」の練習にもなります。
僕がいつも隣で絵を描いていたことも、子どもたちには良かったのかもしれません。絵の時間が家族で過ごす楽しい時間になっていたからです。
これは、学校別クラスの先生に教えて頂いた、効果抜群の魔法の言葉です。
「〇〇は本当に絵が得意ね」
これを、絵を描くたびに言って、自分は絵が得意だと思い込ませるのです。思うことは力になります!
絵を描くたびにそう言ってあげれば、子どもはそのうち、自分は絵が得意なんだと思うようになります。
今回はこの辺で。読んで下さりありがとうございました。
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