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「庶民が小学校受験をする場合」
自分たちが庶民だと自覚していて、それでもなお私立の小学校を受験しようと考えているなら、何故私立に行かせたいのかを明確にしておく必要があります。それがぶれてしまうと受験直前になって辛くなります。結局最後に必要なのは「どうしても子どもを私立小学校に入れたい」という熱意です。
「べつに公立でも構わないんだけど、慶応幼稚舎とか早実に入れるんなら受けてみよう。入れたらラッキーじゃん。だって慶應や早稲田に行けるんでしょ」
という人は早々に受験から撤退したほうが良いです。はっきり言ってお金と時間の無駄です。
世の中には幼稚舎だけ受験して見事合格する子もいるようです。ですがそれはきっと立派なご家庭のお子さんです。幼稚舎に限らず私立小学校の受験者には創業者の親族、有名企業の経営者の親族、学校の関係者、事業提携者などのご子息が大勢います。実際に僕の仕事のお客様にも、妻のお客様にもそういうご家庭は複数あって、当然のようにお子さんやお孫さんが立派な学校に通っています。所謂家柄枠、縁故枠です。そうじゃなくても代々その学校に通っているとか、お父様やお母様がご出身という方は多いです。前回の記事で書いた「家柄」とはそういう方たちです。因みに大学だけ出ていてもご出身とは言わないそうです。
縁故もない卒業生でもない普通の家庭が合格するのは大変なことなのです。数少ないフリー枠を争うわけですから。縁故関係にあるご家庭より高得点を取らなければご縁をいただけません。全体の合格者から縁故の強い順に数を引いていった残りがフリー枠です。僕は仕事場でお客さんから「よく受かったね」と言われます。
出願したことをジャックに報告する学校もありました。合否には関係ないと言われましたが、お教室加点もあるのではないかと思っています。あくまで予想ですが。
僕も妻も縁故なんて関係ない、実力があれば合格できると思っていました。そう思いたかったからですが、終わってから冷静に考えれば縁故はあって当然です。関係のあるご家庭や代々通っていてその学校のことをよく知っているご家庭を優先することは、学校経営を円滑にするためには必要なことです。
縁故だけで入学すると入ってからが大変だと我々庶民は思いたいですが、そんなこともないようです。そういうご家庭は全教科個別の先生をつけて学習のフォローアップをしています。妻の仕事も半分は私立の子たちのフォローです。
「私立小学校はコスパが良い」
最近小学校受験関連のブログなどで、小学校から大学附属に入れれば一番コスパが良いという記事を見ることがあります。確かに僕もそう思っています。
「将来を見据えた場合」
恐らくこの場合の大学附属とは慶應、早稲田、青山、立教系あたりをイメージされる方が多いのではないでしょうか?ですがそれらの学校はどこもフリー枠狙いには狹き門です。先程あげたようなBIPなご家庭がたくさん受験してきます。芸能人やプロスポーツ選手のご子息もいます。歌舞伎界の青山学院は有名ですよね。
大学がついていて且つ内部進学率が高いということで言えば、他にも成城、成蹊、農大附属稲花、日本女子大、昭和女子大、聖心女子大、帝京などいくつもあります。最近の中学受験の記事で半附属校と呼ばれてます。「そのあたりの大学なら何も小学校から行かなくても大学入試で普通に行けるでしょ。価値ないじゃん」と思っていませんか?
ですが考えてみて下さい。大学受験では色んな大学を受験しますよね?先程例に出した学校に通っている場合、一定の成績を修めれば内部進学の権利を持ったまま大学受験ができます。そうすれば第一志望の学校だけ受験すれば良いのです。このシステムは学校によっても違いますし年度によっても違うようですが、上に大学が付いていることで安心感が得られることは間違いありません。
大学附属じゃなければそれこそたくさんの小学校があります。それらの学校は女子ならそのまま高校まで行ける学校が多く、指定校推薦の枠がたくさんあったりします。
学校の勉強をしっかりして、部活や生徒会活動を頑張って過ごす青春時代と大学受験を目指して必死に勉強する青春時代、どちらを娘たちに送ってほしいかを考えて我が家は小学校受験を選択しました。大学受験は我々親の世代が受験をした当時より厳しいです。予備校にかかる費用も青天井です。
また、小学校から通っているということはそれだけコネクションも強くなっていますし、中学以降の学校生活も居心地良く送れます。中学から入ったら小学校からの子たちが幅を利かせていて好きな部活に入れなかったとか、大学から入ったら下から来た人たちは既に人間関係が出来上がっていて肩身の狭い思いをしたという話はよく聞きます。
なんと中高から入った人は「外部の人」と呼ばれます。僕も妻も初めて聞いたときは驚きました。
「制服はコスパが良い」
制服であることも意外とコスパが良いです。公立は私服ですから毎日何を着ていくか考えなければなりません。制服なら考える必要がないですし、多少大きくても小さくても誰も気にしません。プライベートで正装をしなければならない時も制服でOKです。年賀状の写真も制服でOKです。服を買う数が少なくて済みます。私服は休日にしか着ません。
また私立は持ち物も指定されていることが多いです。お友達が〇〇を持っていたから私も欲しいと言われることがありません。仮に言われても「学校でだめと言われているからだめだよ」と言えば子どもも納得します。娘の学校は土産物配りも禁止です。
私立小学校にも私服で持ち物自由という学校もありますから、我が家はそういう学校は選択肢から外しました。
「ちゃんと仕事ができる」
他の記事でも何度も書いていますが仕事がしやすくなります。共働きのご家庭にとってはこの恩恵が一番大きいです。稼ぐに勝る貧乏なしです。
中学受験をする場合は結局親の負担が大きくなります。あまり言われていないようですが、せっかく仕事に戻ったお母さんが中学受験目前でまた辞めなければならなくなったという例を妻は毎年いくつも見ています。小学生ですから勝手に塾に行って家でも勝手に黙々と勉強をするなんてことはありません。ご家庭のフォローは絶対に必要になります。
「受験費用にしても」
妻から話を聞くと小学校受験よりも中学受験の方が費用がかかるように思います。ジャックなどの大手塾の講座も選んで受講できます。ある程度は予算に自由が利きます。SAPIXで算数だけ受講するということはできませんし、大手塾のフォローで個別指導に通っているご家庭が多いです。妻の仕事の半分はまさにそういう仕事です。6年生になると大手と個別で月の塾代が30万というご家庭がザラにあります。中学受験で大手塾のみで戦うということは、お父さんお母さんがプロの個別指導の先生と戦うということです。我が家がどうしても中学受験を回避したかったのはそれらの事情を知っていたからです。
小学校受験にも個別指導の教室はあります。人気上位の学校に入学するようなご家庭は塾の掛け持ちをしたり個別の先生に見てもらったりしていると思います。中学受験の例と全く同じです。だから我が家はトップの学校には行けなかったのでしょう。
もちろん僕は中学受験を否定しているのではありません。中学受験で大成功されているご家庭もたくさん知っています。中学からしか入れない学校のほうが多いですから、選択肢が広がります。ご家庭の方針の問題です。
ただ小学校受験のほうがお金が掛かるという世間一般的なイメージは間違っていると思います。どちらも同じだけ大変ですしお金も掛かります。恐らく小学校受験のほうが子どもの将来への期待が大きい分選ぶ学校も高望みになりやすいのでしょうね。我が家も双子じゃなければ高望みをして全滅していた可能性は大きいです。高望みせずに色んな学校を視野にいれておくことをお勧めします。きっと行きたいと思える学校が見つかります。
「まとめ」
私立小学校受験は、考え方次第で一番コスパが良いと思います。
子育てをする以上、子どもの受験は必ずどこかで通らなければなりません。
受験にお金をかけることは、それ以降の家族の暮らしを買うことです。僕も妻も、「娘が私立小学校に通い、将来的に進路に対する不安を抱くことなく青春時代を過ごす。そして両親とも仕事をする」という暮らしが欲しかったので受験を頑張りました。
何年か前まで「小学校からオール私立と大学までオール公立の費用比較」という記事をよく見かけましたよね。高校まで全て公立で自宅学習のみで自宅から通える国立大学に行くのが一番お金が掛からないとありました。そりゃそうでしょうが東京では無理ですよね。自宅から通える国立って東大ですか……?そういう記事は近年の都心の受験ブームに押されて最近は見なくなりました。大学までかかる費用は塾代も含めると小学校から私立でも実は大差ないという資料も見たことがあります。妻の話を聞くと実際にそうだろうと思います。
どのタイミングで受験するかはそれぞれのご家庭の方針ですが、せっかく私立小学校受験を考えたなら、最後まで乗り切って私立に行ったほうが良いです。絶対に楽しいです。
今回はこの辺で。読んでくださってありがとうございました。次回は我が家の小学校受験で実は一番苦労した礼儀作法について書くつもりです。
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