いつから始める?リベンジのリベンジ?!お受験対策スタート時期 

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音読

 小学校受験に取り組む中で苦労したことはたくさんありますが、結局最後までどうにもならなかったのは娘たちの言葉遣いと立ち居振る舞いです。周りの子とのあまりの差に愕然としましたが、その結果受験全般的に通じることで分かったことがありました。

「言葉遣い」

 言葉遣いと立ち居振る舞いは大事です。特に女子校やカトリック系の伝統校を受験される方にとっては出来て当然のことなので外せません。僕も妻も普通の家で育って、上品とは程遠い生活をしてきました。だからこそ私立小学校への憧れが強いのです。娘たちにはそういった品格を身につけて、将来僕たちよりずっといい暮らしをしてほしいと願っています。

 娘たちはカトリック系の幼稚園に通っていました。先生方は皆さん品のある話し方をされていて、娘たちも先生を真似て丁寧な言葉遣いをしていましたし、僕も妻も丁寧に話すことを心がけていました。

 幼稚園でもジャックでも色んなものに「お」をつけます。お教室、お授業、お見本、お集まり、お帽子など。お教室に通うと親も子どもも自然とそのように話しますよね。ただ僕にはもともとその感覚はないのでどこまで「お」をつけたら良いのか難しく、おテレビは変だなとかお椅子は良いのかなとか色々考えましたが、とりあえず幼稚園とジャックの先生が「お」をつけているものにはつけるようにしました。

「立ち居振る舞い」

両手で渡す

 難しいのは立ち居振る舞いです。問題用紙を両手でもらう、渡す時は180度回して両手で渡す、脱いだ靴を揃える、綺麗に畳む、背筋を伸ばし足を揃えて座り、授業中微動だにしないなどそういった動作の一つ一つが最後まで身につきませんでした。もちろん家でもそのように心がけていましたし、娘たちもジャックに行くと一生懸命やろうとしていましたが、所詮付け焼き刃なので気を抜くとボロが出ます。

 正直言って年中までは気にしていませんでした。娘たちはジャックの体操で鍛えられていたため気をつけの姿勢のまま長い時間待っていられましたし、通っていた校舎にはそこまでお行儀の良い子はいませんでした。自分のことは自分でと心がけていたので、ジャックの体操着も自分たちで畳ませ、風呂敷に包んで持たせました。年少のときから着替えなどを親が手伝ったことはありません。体操が始まる前にドタバタと親が手伝いながら準備をする子たちを横目に見て、我々はなんて意識が高いのだろうと思っていたくらいです。年少の夏以降に入ってきてお母さん同士でお喋りしている人たちを、なんて呑気なのだろうと思っていました。

 気になりだしたのは学校別に行きだしてからです。特に椅子に座ってペーパーを解いている時の姿勢など明らかに悪いです。

 慌てて対策を考えましたが、年長の2月からではなかなか定着しません。服の畳み方も自己流でしたので、行動観察の時に普段と違う畳み方を指示されると立ちんぼになってしまいました。学校別クラスの他のお友達は背筋を伸ばして椅子に座り、服も綺麗に畳んでいます。我が家も2歳の頃からベビーパークに通い、年少からジャックに通って意識的に準備をしてきたという自信がありました。幼稚園も近隣では上品な園です。ペーパーが追いつかないのはまだしも、それ以外のことでここまで差があることを見せつけられて愕然としましたが、その理由はすぐに分かりました。

「取り組んだ時間」

 ある時学校別の授業の中で、保護者が面接官となり子どもたちと面接の練習をする授業がありました。保護者全員で円を作って座り、その内側を子どもたちが順番に回ってお話をしました。色んな大人と話す練習です。

 聞くと多くの子が枝光会とか若葉会とか幼稚園受験をしなければ入れない園に通っていました。

 我が家は娘が2歳の頃から小学校受験を考えて準備していたので、早く始めていると思い込んでいましたが、3保受験をするご家庭は0歳から既にお教室に通っています。1歳半で遅いと言われるような世界です。

 1歳頃の娘たちなんて、怪獣のように奇声を上げながら走り回っていました。その年齢から既にお教室に通い、お姿勢や言葉遣いの指導を受けている子たちと娘たちとに差があるのは当然です。幼稚園受験を経験されているご家庭から見れば、我が家こそ後からのこのこ入ってきた呑気な家族です。

 何事においてもそうですが、習熟度は取り組んだ時間に比例します。先達を追い越したいのなら、倍以上の速さで追いかけなければなりません。

追いかける

 中学受験で後から入塾した子に抜かれるという話を聞きますが、後から追い抜いて行く多くは私立や国立の小学校に通っている子かもしれません。進学塾に入ったのが遅いだけで、何年も前から個別の先生に見てもらって受験に取り組んでいたご家庭です。私立や国立は通学に時間を掛けて遠方の学校に通っている子も多く、その場合平日の通塾は難しいです。我が家の娘たちも平日は帰りが17時頃になります。特に低学年の間は時間に融通がきく個別指導や家庭教師の先生に見てもらうご家庭が多いようです。妻も私立や国立に通うお子さんの中学受験対策を毎年担当しています。

 先を走っている人を追い抜くことは簡単ではありません。先を進んでいた子が寝ているのなら追い抜けるかもしれませんが。後から始めた人が、周りと同じやり方で自分だけ速く進むということはないのです。予算に限りがあるのなら早くから始めるしかありません。

 だからこそ、小学校受験でも中学校受験でも大事になるのは学校探しです。上には上がいることをわきまえて、納得できる着地点を見つけておけば幸せになれます。ジャックの先生方も口を酸っぱくして色んな学校を視野に入れるように仰っていました。

「結局は親の気持ち次第」

 小学校受験は父親がどれくらい関わったかが重要と言われています。実際ジャックでも父親も参観するように促されます。でも結局は母親の気持ち次第でそのご家庭の受験は決まるのではないでしょうか?特に女の子の場合、母親は娘を自分の分身のように思っています。父親の育児参画が増えていると言っても、母親といる時間の方が長いでしょうし、お教室に主に一緒に行くのは母親です。お付き合いもお母さん同士の方が多いわけでお父さん同士のお付き合いは少ないです。我が家の場合も妻の方が受験に対して思い入れを強く持っていました。

 どの受験でも、隣にいる子がいつから受験に取り組んでいるかなんて分かりません。枝光会や若葉会などの立派な幼稚園に行っていたとしても、本当はどこに行きたかったのか分かりません。小学校受験のリベンジで中学受験に臨むご家庭はたくさんあります。自分より早く始めている人の存在はあまり見たくありません。小学校受験はみんな年少や年中から始めると考えたいし、幼稚園受験組は小受をしないと思いたいものです。

 親が納得しない限り受験は終わりません。幼稚園受験のリベンジで小学校を受けて、またリベンジで中学も受験して、最終的に大学受験まで追い求めるご家庭もあるようです。経済的に続くならそれも可能でしょうが、我が家は経済力も精神力も耐えられません。だから今の学校を着地点として楽しんでいます。今の学校に通う良さを見出して納得しているからです。どこの学校に行けば将来どんな生活になるかを、学校ごとに考えて受験校を選びました。これもまたご家庭の方針次第です。

 実は我が家も幼稚園受験を考えたことがあります。ジャックに通い始めた頃、2保受験をしようかと思いたちました。3歳の娘と電車に乗っていくつかの幼稚園に下見に行ってみましたが、どこも遠すぎて心が折れました。そもそも小学校受験が大変そうだからという理由で思いついたことなので熱意がありませんでした。

 幼稚園受験は小学校受験よりもさらに親の職業や家柄を重視されるでしょうから、受けても駄目だったと思います。ですが、そこで一度失敗するという経験をしていれば、その後の小学校受験の取り組み方が全く違っただろうと思っています。リベンジの思いはやはり強いものです。

「国立」

 実は国立小からの中受もとても多いです。

 国立小学校は学費がかからないため庶民が目指しやすいと思われがちです。ですが妻の生徒さんで国立に通っていた子たちを思い出すと、ほとんど開業医のお子さんです。

 ジャックの先生が「国立受験は泥沼」と仰っていました。私立で決められなかった子が国立を受験するという位置づけのようです。だから国立小学校には、雙葉や慶應などの私立トップ校にあと一歩で及ばなかった立派なご家庭が多数通っています。

 そのため国立小学校はイメージよりもずっとゴージャスな人たちがたくさんいるようです。上への進学も大変なので、1年生からぎっしり塾通いをしている子も多いと聞きます。学芸大付属は中学が4校あるのに高校が世田谷1校しかないのでかなり狭き門です。

「受験費用も学費も掛からないで優秀な学校へ行けるから、抽選に通ればラッキーじゃん」

くらいの気持ちで受験すると、入ってから付いていくのに苦労すると聞いたことがあります。学芸小金井にお子さんを通わせていた知人が何人かいますが、学芸世田谷高校に進学できるのは上位20%程度なので、大半が中学か高校で私立受験をすると言っていました。僕の知人は全員受験していますし、妻もこれまで複数名の中学受験を担当しています。小学校から入れば大学受験まで安心だと思っていると危険です。多くのご家庭が小学校受験のリベンジを狙っているかもしれません。

「家庭で取り組むなら長い時間が必要」

 結局家庭学習で習熟度を上げるためには長い時間を掛けるしかありません。短時間でお手軽に力をつける方法はないです。特に先述した立ち居振る舞いなどは簡単に身につきません。何年もかけてようやく身につくものです。

 我が家は共働きなので祖父母に頼る機会が多いです。とても好意的に協力してくれているのですが、娘たちは大いにはめを外して来ます。預けた後はどうしても言葉遣いなどが乱れてしまい、受験直前は悩みの種になっていました。世の中の立派なご家庭は祖父母の方が厳格でお行儀に厳しいという家もあるでしょう。そういうお家のお子さんは常日頃から礼儀作法を叩き込まれているのですから、小学校受験のために特別な対策をする必要はありません。我が家はそうはいきません。じいじ、ばあばと呼んでいるようでは駄目なのです。共働きの庶民家庭が小学校受験をするなら、小さいうちから躾には徹底的に取り組まないと追いつきません。小さいうちから祖父母も巻き込んで取り組んでいれば、我が家のように年長になって慌てなくて済むと思います。

 

「だから着地点が大事」

 我々が絶対に私立にこだわったのは、小学校受験でせっかく身につけたことが公立に行ったら無駄になってしまうと思ったことも理由の1つです。お帽子とかお集まりなんて言ったら馬鹿にされるでしょう。特に妻はガリ勉と呼ばれて嫌な思いをした小中の印象が強かったようです。丁寧な言葉遣い、綺麗な立ち居振る舞いをしていることが当たり前で、勉強を頑張っていることが評価される環境で娘たちには過ごして欲しかったのです。

 小学校受験は親の受験と言われますが、子どもたちも頑張っています。その頑張りを意味のあるものにするために、私立を目指したなら私立に行かせるべきです。色んな学校を調べ、それぞれの学校での生活を想像して、納得できる着地点を見つけるのが大事です。もしリベンジをしたいならそれから考えれば良いと思います。

 1年生から塾通いを始めても6年の間に気が変わるかもしれません。通っている学校が楽しくてそのまま進学するご家庭はたくさんあります。我が家も妻がリベンジしたいと言って1年生から四谷大塚に通いましたが、学校が本当に素晴らしく、中学受験はどう考えても大変なので早々に撤退しました。もし高望みの学校にこだわって公立に行ってしまっていたら中学受験は絶対です。かえって可能性を狭めています。

 ご縁を頂けた学校はそのご家庭に一番合っている学校です。長い時間をかけて準備をすれば、それだけ可能性を広げることができます。