「小学校受験の家庭学習が偏ってしまったこと」

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ハムスター

 ジャックで頂いた面接の過去問

「生き物を飼っていますか?」

という質問があります。立教女学院がバディ教育として盲導犬を飼っているのは有名ですし、カリタスにはヤギがいます。キリスト教系の女子校では、多く質問されているように思います。キリスト教の精神では弱いものを慈しむ心が大事です。家庭で慈しむ心を育むような取り組みをしているかどうか測っているのかもしれません。

妻は動物が嫌いです

 妻は生き物を飼うのが好きではありません。動物が嫌いです。ですが自分が嫌いだからと言って、娘も動物嫌いになって良いとは思っていません。我が家の第一志望は女子校でしたし、生き物を飼うのは娘の教育にも良いことは分かっているので、我が家でも生き物を飼っています。

 小学校受験の当時は金魚泥鰌を飼っていました。金魚は家の近所にある金魚の釣り堀で娘が釣った魚です。受験がなければ、水槽はなんとなく生臭いし、魚は見ていると気持ち悪いと言って妻は絶対に嫌がったでしょう。台所で僕が魚を捌くのも嫌がります。

 理系のお母様は生き物の飼育や家庭菜園を楽しんで取り組んでいらっしゃるでしょうが、妻はド文系なのでそういったものは一切ノータッチです。ペーパーも生き物や植物の分類はよく分からないということで僕が見ていました。

親が好きなことに偏ってしまった

 我が家は夫婦ともに文系なので、家庭学習の取り組みに偏りができてしまいました。

 僕は生物分野のペーパーならかろうじて出来ますが、数や図形、物理分野のペーパーはやっぱり苦手です。どの分野もまんべんなく取り組もうとは思っていましたが、どうしても夫婦ともに好きなお話の記憶言葉の分野のペーパーをやる時間が多くなります。生活習慣など、僕がちゃんとしていないのだから教えられるわけがありません。

 共働きの我が家にとって、娘たちの夕食の時間は洗い物や洗濯物を片付ける時間で、食事は娘たちだけでとっていました。

 そのため娘たちの箸の持ち方がおかしいことに気付いたのは年長の秋になってからで、慌てて矯正したのですが受験に間に合いませんでした。箸の使い方が出題されることなんて分かっていたのにです。

 たまたま受験した学校はどこもお箸の試験がなかったようで助かりましたが、お箸が出たらどうしようかと心配でしかたありませんでした。

いかに偏っているか

 子育てをして、かつ小学校受験に取り組むと自分がいかに偏った人間か気付かされます。娘たちが生まれるまでは、休日は自分の好きなことをしていました。映画を観て、本を読んで、絵でも描いていれば幸せでした。

 小学校受験に取り組むと、水族館にも行かなければならないし、動物園にも行かなければなりません。美術館にも行ったほうが良いし、音楽も聴いたほうが良いし、スポーツを観ることも大事です。

 休日は娘たちの習い事などで予定が一杯なので、逆にゆっくり本を読んだり、映画を観たりする時間はありません。

 我が家は妻が好きではないので動物園や水族館は優先順位が低いですし、僕はスポーツが分からないのでまったく観ません。

 植物を育てるのが大事だからと家に花壇を作りましたが、妻はもとより僕も元々興味がないので、植えた花もすぐに枯らしてしまいます。虫取りも受験に取り組んだ3年間で、行ったのは1回だけです。季節の行事も忘れていて、準備が間に合わなかったことが何度もあります。

 まんべんなく色んな分野のことを子どもに体験させている親御さんには尊敬しかありません。

 早めに小学校受験に取り組み意識的に日々を送っていたつもりでも、振り返ってみるとなんて偏った取り組みだったのだろうと反省ばかりです。

ハムスターを飼う

 今はハムスターも飼っています。娘たちは最初は自分たちがハムちゃんの世話をすると張り切っていましたが、結局ほとんど僕がやっていました。

 妻がハムスターを飼うのを許したのは、家庭教師先でハムスターを飼っているご家庭が多く、真似をしたかったからです。

 僕はもちろんですが妻も庶民の家庭で育ったので、色んなことで生徒のお母様方の真似をしています。習い事のお月謝をピン札にしたり、娘がお世話になっている先生方へ贈り物をしたり。メールの文面もお母様方の言葉遣いを真似しています。

 妻は妻で自分の出自や能力の低さを自覚していて、目一杯背伸びをして暮らしています。

 幼い頃に生き物を飼うことは、子どもの情操教育に大変有意義だと思いますが、小さいものを慈しむ心を育むには時間がかかるようです。

 つい先日、飼っていたキンクマハムスターを死なせてしまいました。夜ものすごく寒かったからだと思います。

 ハムちゃんの死に娘たちは何を感じ取ったのでしょうか?

 ハムスターを手に乗せる幸せを感じたり、死なせてしまった悲しさを感じたり、一つ一つ積み重ねながら少しずつは育っていきます。

 何本も花を枯らして、何匹も生き物を死なせないと心は育ちません。最初から慈しみの心を持って生まれてくる子どもはいません。成長の影にたくさんの犠牲があることが人間の業です。

 下の子は「ずっとずっと大好きだよ」が大好きで、寝る前の読み聞かせの時間に何日も続けて持ってきていた時期がありました。

 下の娘は何故か動物と相性が悪く、ふれあい動物園のモルモットに引っかかれたり、餌やり体験で馬に手を噛まれたりして、家のハムスターを触る時もおっかなびっくりです。でも、本当はハムスターもちゃんと抱きたいと思っているのだと思います。

 3日前から我が家には新しいゴールデンハムスターがいます。今回はお世話の当番表を作って、僕と一緒に毎日ちゃんと世話をするのだと、娘たちは張り切っています。何日続くか分かりませんが。

 娘たちが親になった時に、偏りなく楽しく取り組める親になって欲しいと願っています。