小1の壁はない?!

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少女 微笑み

 私立小学校に通わせるにあたって心配なことの1つに、公共の交通機関を使って子どもだけで通学することが挙げられると思います。

 

「送り迎えは必要?」

 都内の私立小学校に通う子たちの多くは電車やバスで通学します。通学に関する対応は学校によって様々です。入学式の翌日から子どもだけで通学する学校もあれば、かなりの期間送り迎えが必要な学校もあります。女子校には必要な学校が多いように思われ、一緒に登校しながら電車でのマナーなどを教えることが求められています。電車の中は沈黙です。

 娘の学校は入学式の翌日から送り迎えは不要でした。送り迎えの状況によって親同士のお付き合いも随分違います。送り迎えが必要な学校は親同士の関わりが濃くなりやすいようです。最初から一緒に行かないと、同級生の親同士が会う機会はほとんどありません。

 学校を選ぶ際には送り迎えの扱いがどうなっているのかも確認しておいたほうが良いです。我が家は庶民なのでできるだけ親同士のお付き合いは避けたかったため、今の環境はありがたいです。逆にお付き合いを楽しみたいタイプのお母様にとっては物足りなく感じるでしょう。

「通学の練習は小さいうちから?」

双子用ベビーカー

 小学生になったら、いきなり電車に乗って通学できるようになるわけではありません。我が家では就園前から受験を考えていたので、早い段階から公共の交通機関を利用するようにしていました。 

 幼い双子を乗せるための乗り物は基本的にみんな不便です。双子用のベビーカーも幅を取るし重いし。駅などの階段を通らなければならない時は本当に大変でした。でもありがたいことに、僕がベビーカーを抱えようとすると大抵周りの方が手伝って下さいました。

 子育てを始めると人の親切に触れる機会がたくさんあります。悲しい気持ちになったこともありますけどね。泣き止ませろと言われたり、電車から降りろと言われたりもしました。皆さんも経験されているでしょう。でも、電車の中で赤ちゃんが泣いて一番困っているのは親です。僕は嫌な記憶を数えるより助けてもらった記憶を数えたほうが良いことがあると思っています。娘たちも通学が始まった当初、何度も駅員さんや周りの大人に助けてもらっています。

 というわけで、我が家は1歳の頃にはベビーカーを使うのを止めました。結構スパルタに歩かせましたが、そのおかげか体力がつきました。

 子供乗せ用の自転車も、前のチャイルドシートには4歳までしか乗せられません。だから年少の頃からゆとりのある日は電車で登園していました。幼稚園児ですから歩くのは遅いです。自転車で行けば15分で着く幼稚園に、電車を使うと1時間以上掛かります。

「登園時間は学びの時間」

 妻は1時間以上かかる道のりを、娘たちの勉強の時間にしていました。しりとりをしたり、季節の花を探したり、「雲は白い」などの言葉の勉強もできます。1時間の間にできることはたくさんあります。年長になってからは聞き取り話し方の宿題をやっていました。ジャックの聞き取り話し方では「白いものを探す」とか、「丸いものを探す」といった宿題が出ました。中でも大変だった宿題は「いろはにこんぺいとう」です。

「いろはにこんぺいとう、こんぺいとうは甘い、甘いはキャンディ、キャンディは丸い、丸いはボール」

と連想を繋げていく言葉遊びです。これを50個つなげる宿題が出ました。5歳の子どもが50個も連想ゲームを一人で続けるのは大変です。クリアするまで何週間もかかりました。他にもお話づくりや仲間分けなどペーパーを使わない学習はたくさんあります。登園時間はそういった学習をするにはふさわしく、また学校別クラスではお年寄りに席を譲る宿題なども出たので、登園時間は大事な時間でした。

双子と母親

「うまく使わないともったいない」

 自転車での送り迎えは確かに楽ですが、子どもはただの荷物になってしまいます。年少で前のシートに乗せられる間はまだコミュニケーションも取れるでしょうが、後ろの席に乗せてしまうと会話もなくなります。我が家は最初から前後に乗せるしかなく、下の子はじゃんけんが弱かったため、上の子ばかりが前になり言葉の発達に差がついてしまって、大いに反省しました。

 ジャックでは年少のうちから定期的に保護者向けの講座があります。講座で紹介された避けるべき項目の中に「送り迎え時のお母さん同士の立ち話」というものがあり、大変興味深かったです。僕も妻も幼稚園での保護者どうしの関わりを一切持っていなかったので、間違っていないのだと太鼓判をおされたように思いました。

 小学校受験の準備は、全ての時間が学習の時間と考えられます。何故なら受験の学習は生活習慣や情操教育など育児や躾と直結しているからです。受験という目的がなければ漠然と過ごしてしまうところを、全ての行動に意味を考え、目的意識をもって子育てに取り組めたのは、私立小学校に行くという大きな目標があったからです。

「通学が始まって」

 キッズ携帯等を許可している学校もあるかもしれませんが、おそらく少数派です。娘の学校も携帯電話の所持は禁止です。GPS端末は申請すれば許可されています。

 我が家では最初の頃は端末を持たせていませんでした。二人で通学するし通学に使う電車はジャックの学校別に通う為に毎週利用していたので、特に心配していなかったからです。最初はエキッズに登録していました。東急線や小田急線が導入している改札を通過するとメールで通知されるサービスです。

 最初の2ヶ月くらいは朝は最寄り駅の改札の中まで一緒に行って、電車に乗るところまでは見送っていましたし、帰りも最寄り駅の改札まで迎えに行きました。エキッズは迎えに行くタイミングを測るのに重宝しました。

「朝の見送り」

 朝の見送りは妻が行ったり僕が行ったりしましたが、僕が行く場合と妻が行く場合で駅員さんの対応が違うこともありました。

 娘たちは当然自動改札を通りますが、僕も妻も改札を通らず駅員さんのいる出入り口から

「娘の見送りです」

と断って入場していました。入る時にいた駅員さんと出る時にいる駅員さんが違うことがあり、そういう場合僕はよく止められたり、入場料金の精算を求められたりしました。妻に聞くとそんなことは一度もなかったようです。仕方ないことですが、やはりそういう場合女性のほうが信用が高いようです。男性は怪しまれます。駅員さんは悪くありません。娘たちはよく駅で迷ったり電車やバスに忘れ物をして、何度も駅員さんやバス会社の方にお世話になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。

「制服を着ているということ」

制服の双子
※制服はイメージです

 制服を着ているということは、学校の看板を背負って歩いているということです。通学途中の子どもたちの評価は直接学校への評価になります。だから伝統的な女子校は送り迎えを求めるのかもしれませんね。どこの学校の制服か調べて学校へ通報する人もいます。我が家の娘たちも何度か通報されています。双子なのですぐに特定できてしまいます。先生方と相談して、行き帰りに時間差をつけばらばらに登下校するという対策を取った時期もあります。

 ご縁を頂けたということは看板を揚げても良いというお許しを頂いたということです。マナーの悪さなど、悪いことも学校の評価になりますが、逆に地域の方から感謝の言葉をもらったというようなことは、良い教育をしている学校だというプラスの評価なのです。だから子どもたちの入学試験があり、親の面接があるのです。ジャックで、試験ではどんな家族なのかを見られていると教わりました。問題が起きた時どのように親が対応するのかを面接で試されているのかもしれません。

「通学のメリット」

 通学にあたって心配なことはあるかもしれませんが、子どもは親が思っているより何でもできます。我が家も今はGPS端末を持たせているので安心です。何かトラブルが起きても先生方は親身になって対応を考えて下さいます。

 何より子どもだけでの通学は、子どもにとって大きな学習の機会です。それに共働き家庭には恩恵も大きいです。子どもは6時半に出かけます。親の出勤と一緒に出かけられます。近所の公立だと出かけるのは8時です。帰りも16時、17時まで帰ってきません。よく言われる小1の壁が私立の場合あまり問題になりません。両親ともに働きやすくなるはずです。我が家ではよく祖父母に娘たちを預けますが、祖父母の家まで子どもだけで電車で行けますし、習い事にも勝手に行きます。自立するのが早くなります。

「自立」

 電車で通うことで、不測の事態に対応する力も養われていくでしょう。乗り過ごしてしまったことも、経験として蓄積され学びに繋がります。いつまでも親の監視下に置いておけば親は楽だと思います。ですが、子どもは柔軟に色々なことに対応できます。心配だと言って管理したいのは親なのです。

 親の手を離れれば、それだけトラブルのリスクは増えます。ですが何かしらのトラブルは遅かれ早かれ発生することです。小1から色んなトラブルを経験することで親も我が子の問題点などに早く気づけるかもしれません。

 私立の学校に入学して親から離れる時間が増えることは、子どもを客観的に見る機会でもあります。そもそも受験の準備の段階から、子どもを客観的に見ることには慣れているはずです。

 幼稚園では荷物として自転車で運んで、小学校に行ってからも管理下に置いていては子どもは育ちません。小学校受験は自立した子どもを育てるための絶好の機会です。

「余談」

 娘が入学したての頃、駅のホームで帰りのバス乗り場を教えていたら、隣にいた慶応幼稚舎の男の子(多分3年生くらい)が

「お嬢さんは〇〇小学校ですよね。1年生ですか?僕も乗り換え駅が一緒なので、バス停までご案内しましょうか?」

と声を掛けてくれました。なんてジェントルマンなのでしょう!やっぱり一流は違います。娘たちにもそんな風になってもらいたいと願っています。

 今回はこの辺で。次回は絵本の読み聞かせについて書くつもりです。読んで下さってありがとうございました。