志望校を考える上で。どんな子が通っているのか

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志望校

 このところ連続して「立ち位置」ということをテーマにしてブログを書いています。

 妻は中学・大学の受験生も担当しますが、どちらかと言うと私学に通っているお子さんの家庭学習のフォローや定期試験対策の仕事を多く抱えています。受験生を担当する期間は短いです。中には何年も担当しているお子さんもいらっしゃいますが、基本的には1年未満です。

 ですが定期試験対策などで担当してる子の場合、何年もの付き合いになります。当然色々なことを話します。僕のブログの情報源は主に妻が生徒から聞いてくる私立の学校の日常の話です。

楽しく通ってもらいたいけど

 親からすれば、子どもには毎日楽しく学校に通ってもらいたいですし、学校を好きでいてほしいものです。

 一生懸命塾やお教室に通って、説明会に参加して、願書を書いて、それこそ生活の大半を費やしてようやくご縁を頂いた学校です。子どもが学校で嫌な思いをしたり、学校が嫌いになったりすることは考えたくありません。

 でも学校は子どもの社会です。当然嫌なこともあります。友達関係が理由だったり、コンプレックスが理由だったり。

 学校に行きたくないという話を聞くこともあります。登校拒否のような深刻なことではなくても行きたくないことくらいあるでしょうし、先生や友達に対する不満や愚痴、妬みなんかはいくらでも出てくるものです。

 ですが意外と嫌な話というのはなかなか聞けません。親は良いことしか他人には話しませんし、子どもも誰にでもそういう話をするわけではありません。

 子どもにとっては何年も付き合いのある個別の先生のほうが、親よりも話せるのかもしれません。我が家では子どもの話を聞いてくれる親以外の大人の存在が、成長期や思春期の子どもにとって重要だと考えています。だから習い事の教室は変えずに通い続けたいと思っています。

 妻から話を聞いていると、学校で子どもたちがどう過ごせるかを先回りして考えておくことは、親としての最重要課題なのではないかと思えます。

 最近学校での立ち位置というテーマを考えているのはそのためです。

子どもの立ち位置

 自分の子がその学校で1番になれると思っている親はあまりいないでしょう。

 でも上位四分の一には入っていて、特に惨めな思いはせずに過ごすに違いないだろうと、ほとんどの親が思っているのではないでしょうか。

 子どもが良い立ち位置を獲得するためには、親も真剣に考えて準備しなければなりません。

 我が家は最初から私立小学校のどこに入っても底辺だと分かっていました。

 現に学校別クラスで教わった願書の備考欄に書く親の履歴や職業など、例が凄すぎて僕には何一つ参考になりませんでした。

 それでもなお私立に通わせたいと考えて受験しました。だから娘たちが嫌な思いをしないためにどんなことが必要か、毎日そのことばかり夫婦で話しています。

偏差値からは測れないこと

 受験準備の真っ最中はやはり数字しか見えないでしょう。我が子の偏差値とにらめっこしながら志望校を探して、その中でより偏差値の高い学校、より名の通った学校と考えてしまいます。

 ですが帰国子女で英語がペラペラの子がたくさんいるとか、やたらと頭の良い子がたくさんいるとか、音楽や美術、スポーツに非常に長けた子がいるとか偏差値や受験情報誌だけでは測れないこともたくさんあるようです。

 英語ができることは親から見ても良いと思うでしょうが、芸術ごとやスポーツは必要ないように感じてしまうのではないでしょうか?

 でも通っている子どもから見ると勉強以外のこともできないことは劣等感に繋がるようです。学校では美術、音楽、体育の時間があります。文化祭や体育祭もあります。できないことが多ければ多いほど自己肯定感が下がります。

 自分たちが中高生だった頃を思い出してみてください。足が速い子やピアノが上手な子が羨ましくなかったですか?

どんな子が通っているか

 妻の生徒さんには白百合や暁星に通っているお医者さんの子が複数います。ご両親が理系なので小学生の内に国語を学習しておこうと考えるご家庭が多いからなのでしょう。小学生の内から大学受験を見据えて準備しているようです。

 医学部への進学者が多いことで有名な学校ですから、やはり通っていらっしゃる子はお医者さんの子が多いようです。白百合と暁星に限らず将来的に進学校になる一貫校は医師の家庭が多く通われているようです。

 僕は国立もそうだと知って驚きました。国立は学費が掛からないので庶民の希望に思えます。僕も最初に妻が小学校受験をしようと言い出したときは国立が良いと思っていました。

 ところが実際はどの国立小学校も内部進学が難しく、内部進学専門の塾に通った上に個別の先生に見てもらう必要があるようです。そのため中学受験で私立を受験する子も多くいます。

 結局そういった学習環境を整えられるご家庭が多く、妻が担当したことのある国立小学校の子は全員お医者さんの子です。クラスの大半が開業医の家庭だと言っていた子もいたそうです。

 もちろんサラリーマン家庭の子もいらっしゃるでしょうが、学費が無料という理由だけで国立を目指してしまうと辛いと思います。どうやら庶民の希望というわけではなさそうです。私立に通わせるのと実質的に変わらないと思います。 

 今妻が担当している中堅進学校の子は同級生は歯科医の子が多いと言っているようですし、他にもお父さんが医師でお母さんが音楽の専門家という組み合わせをよく聞きます。

  東洋英和の中等部は、クリスマスの合唱で父親も生徒たちと一緒に舞台に登って歌を歌う機会があるそうです。

 僕はそんな話を聞くととても魅力的に思えるので、もし我が家が小学校受験をせずに中学受験をして娘たちの偏差値が狙える位置にあったら、間違いなく東洋英和女学院中等部を受験するように娘に勧めてしまいそうです。毎年宝塚歌劇団に合格する子がいるそうですし、それだけ聞くととてもお医者さんの家庭がたくさん通っているとは思えません。

 洗足学園のHPに写真が出ていますが、音楽の選択授業で管弦楽をやるようです。選択授業で習ったからといって、コントラバスやオーボエが演奏できるようになるのでしょうか?日本女子大学附属では全員音楽の授業でヴァイオリンを演奏します。きっと学校の授業のためにヴァイオリンやオーボエを習っている子がたくさんいるはずです。ピアノはできて当たり前でしょう。

 以前妻が担当していた生徒は、日本女子大附属中学校に憧れて、小学校からヴァイオリンを習っていたそうです。彼女は中学受験で日本女子大学附属に合格しました。

 妻が通った高校もお嬢様学校だったので、クラスメイトでピアノが弾けないのは妻を含めて2人だけだったそうです。中学までは合唱が好きだったそうですが、高校に入ったらレベルが高すぎて一気に音楽が嫌いになったと言っていました。

勉強よりも

 子どもが学校に行きたくないと言うと、成績が悪いから、勉強についていけないからだと考えてしまいがちです。

 特に私立受験を考えてらっしゃる親御さんは、僕とは違って勉強が得意で大学受験の成功者でいらっしゃると思うので、その傾向が強いように思います。

 ですが妻の話を聞いていると、学校に行きたくない理由は「居場所がない」ことです。意外と子どもにとって勉強が難しいことは、成績が学年で最下位にでもならない限りそんなに問題ではないようです。

 それよりも部活に入れないとか、できないことが多いほうが問題なようです。芸術ごとに秀でていたり、スポーツが得意だったりすれば、多少勉強ができなくても自身の立ち位置を作ることができます。

 我が家は無理して娘たちを私立に通わせています。だから当然何かで1番になれるとは思っていません。ですが大学に入るまでの12年間できるだけ嫌な思いをせずにすむように、苦手なことはできるだけなくしてあげたいと思っています。

 もし、学校に通うのが嫌だから違う学校に行きたいと言われたときに、中学受験をしようと言ってあげられないからです。

みんな良い子です

 小学校受験を乗り越えて、私立小学校に通っている子はみんな良い子です。これは妻がいつも言っています。

 良い子だから親の期待に応えたいという気持ちも強いでしょう。嫌なことがあっても親には言わないかもしれません。

 だからこそ先回りして苦手なものを極力作らないようにしておくことは親の努めなのだと思っています。

 受験しようとする学校がどんな学校で、どんなご家庭の子が通っているのか、数字上やパンフレットの情報以外にも、学校の行事の様子や大学進学実績、中学以降の募集のしかたなど、色んな方向から測ることができます。

 音楽にまったく興味がないのに、音楽に力を入れているような学校に行ってしまうと居心地は悪いでしょう。医学部に行くつもりがないのに、医学部入試をみんなが目指す学校に行ったら、やはり居場所がないと思います。

 我が家は水泳を小さい頃からやらせていたので、水泳の授業があって中学に水泳部がある学校を志望校に選びましたし、国語の教育に力を入れている学校を選びました。

 志望校を考える際には先の学校生活のことも考えないと、入ってからの時間の方が長いです。自分の居場所を作って、自分は「普通」だと思いながら高校まで通ってほしいと願っています。